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ほっとひと息、こころにビタミン vol.66

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

更年期をどう過ごすか

女性の更年期は、精神的に不安定になりやすい時期です。しばらく前の海外の調査によれば、更年期の女性の8割以上の人が心身の不調を体験していたそうです。それには、ほてりや夜間の発汗、睡眠障害、膣の乾燥などの体の不調のほか、うつや不安などのこころの不調が含まれています。こうした心身の不調は、女性ホルモンが大きく変化することが原因として考えられています。

それに加えて、体の病気によって加齢を自覚したりすることも影響しています。子どもが自立したり親などの近親者が病気にかかったり亡くなったりして強い喪失感を体験するなど、心理的なストレスが影響していることがよくあります。また、夫の仕事が忙しくなって夫婦の会話が減り、関係が不安定になったりすることも影響していると考えられます。

こうした心身の不調を自覚したときには、ストレスを上手に対処しながら、食事に気を付けて、塩分、チョコレート、カフェイン、アルコールなどの摂取を避け、少量の炭水化物を頻回に取ったり、ビタミンや鉄分を適量摂取したりしながら、生活の中に有酸素運動などを適度に取り入れていくようにすると良いでしょう。

ほてりや発汗などの自律神経失調症状は、ホルモン補充療法などの婦人科的な治療で改善することがあります。うつや不安の症状が強くなっているときには精神医学的な治療が役に立ちます。更年期の後、まだまだ人生は長く続きます。そのように考えると、この時期に、これから自分がどのような生き方をするのか考えることは、女性だけでなく、男性にとっても大切な時期だと考えられます。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

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