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ほっとひと息、こころにビタミン vol.50

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

人間的つながりの大切さ

前向きなこころを保つ目的で私たちが開発したAIチャットボット「こころコンディショナー」を公開して2年余りがたちました。スマートフォンのアプリを開いて自分の気持ちや考えを書き込むと、AIを利用した仮想の対話が可能になる―このこころを整えるプログラムは、東京都などいくつかの自治体のホームページからも利用できるようになっています。

幸い多くの人たちに利用していただいているのですが、利用後のアンケートに、使っているうちに人に相談したくなったと書いた人がいました。やはり、こころの健康には人の存在が不可欠なのです。そうした意見も踏まえて、私たちは最近、こうしたデジタルツールを併用する可能性を検討し、職域で人による従来の支援の質を上げるためのさらなる活用を提案しています。

人とITの協業が一般医療でも同じように大事になってくることは、持病を持っている人や体調が不良な人を対象に昨年2月に健康保険組合連合会が実施した「新型コロナウイルス感染症拡大期における受診意識調査」からもうかがえます。

この調査結果からは、かかりつけ医の必要性を感じている人が増えていることが分かります。特に若い人の間でその傾向が強く、かかりつけ医によるオンライン診療の利用に賛成する人も若い人で多くなっていました。

この結果を見ると、自宅で受診できる便利さや負担の少なさから、オンライン診療がさらに広がりをみせていくと考えられます。しかしそれはかかりつけ医という顔が見える関係の医師の存在があって可能になることを、忘れないようにしなくてはなりません。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

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