Dr.石川の12ヵ月健康チェック vol.32
テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に季節ごとに生じやすい症状について解説していただきます。これを参考に、なるべく未然に防ぎたいですね。
11月のテーマは「腰痛をまねく猫背」です。
11月:「腰痛をまねく猫背」
秋の初めのころは、暑さが残っているせいか、オシャレをしようとする意欲が中途半端となり、服装も全体にアンバランスになりがちでした。秋も中ごろになると、ピリッとした肌寒さが身を引き締まらせ、何となくオシャレをしたい気分になります。面白いもので、ラフな格好で歩いているときと、ドレスアップして歩いているときとでは、気分も違うし、歩く姿勢も違ってきます。ラフな格好をしているときには、なんとなくだらしなく、背を丸めて歩いてしまいます。ドレスアップしたときには、背筋をピンと伸ばし、靴音も高く歩くようになります。
姿勢が悪い人の中には、腰痛を訴える人が多いのです。脊柱(背骨)は、頚椎、胸椎、腰椎から構成されています。胸椎は後方へ、腰椎は前方へ、ゆるやかなカーブを描いて湾曲していて、それぞれお互いに干渉し合って、うまくバランスが保たれています。しかし、猫背が強くなりますと、腰椎はこれとバランスをとるうえで、どうしても湾曲が強くなります。この湾曲が強くなりすぎますと、腰部の筋肉や靭帯へのストレスが強くなって、腰痛の原因になります。また、猫背が強くなりますと、頭が前に出て、うつむいた姿勢になり、首や肩の筋肉が凝ってきます。
自分の頭を風船と思って、この風船が体全体を上の方へ持ち上げているという感じにしますと、自然に姿勢がよくなります。さらに重要なことは、この姿勢でせっせと歩くことです。こうして歩くことで脊柱支持筋の伸筋と屈筋がリズムカルに収縮と弛緩を繰り返し、筋力がアップされ姿勢が良くなります。