Dr.石川の12ヵ月健康チェック vol.29
テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に季節ごとに生じやすい症状について解説していただきます。これを参考に、なるべく未然に防ぎたいですね。
8月のテーマは「冷房も八分目」です。
8月:「冷房も八分目」
朝、目が覚めたとき、もう汗で肌がベトベトしていて、今日も暑くなりそうな予感が淀んだ朝の空気から伝わってきます。せめて朝のうちは冷房をつけずに仕事をしようとしても、ジワジワと暑くなるにつれて我慢ができなくなり、ついついエアコンのスイッチに手が伸びてしまいます。吹き出てくる人工的な冷気に身をさらして、ホッとする一方で、これはたしかに体に毒だぞ、という実感も湧いてきます。
人体は5度以内の温度変化であれば柔軟に対応できます。しかし、真夏になりますと、ひんやりとした室内と外の温度差は10度近くにもなります。急激な温度変化は体温調節の働きを狂わせます。温度変化を何度も繰り返しているうちに体調が悪くなり、いわゆる冷房病になってしまいます。
冷房病は頭痛、肩こり、鼻炎、喘息、腰痛、生理不順、腹痛、膀胱炎、不眠、足のだるさなどの形で表れてきます。冷房病を防ぐには、生活改善が効果的です。それにはまず、体が冷える機会を少なくするために、冷房の設定温度を上げて、外気との差を小さくします。寝苦しい夜にどうしても冷やしたい場合には、短時間にとどめます。
冷房の利いた室内では、上着やひざ掛け、スカーフなどを身につけ、じっと座り続けずに、体を伸ばしたり、歩く機会を増やすことなどの自衛策が大切です。夜は、38~40度のお風呂でゆっくりと体を温めます。そして、睡眠を十分にとり、三食をきちんと摂りましょう。