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Dr.石川の12ヵ月健康チェック vol.28

テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に季節ごとに生じやすい症状について解説していただきます。これを参考に、なるべく未然に防ぎたいですね。

7月のテーマは「スポーツと水分補給」です。

7月:「スポーツと水分補給」

ジリジリと大地を焦がす強い光、甲高いセミの声、雲の峰のような入道雲を背景に、燃えるような向日葵、いよいよ夏の舞台の開幕です。日ごろあまり体を動かさない人でも、夏になるとスポーツに汗を流したくなります。炎天下で体を動かし、思いっきり汗をかく。一休みして冷たい水を飲む。この一杯の水は、まさに千金に値する醍醐味です。

昔は、運動中は水を飲むことを禁じられていましたが、それは、運動中に水を飲むと、胃がダブついて呼吸運動に影響を与えたり、競技のリズムが狂ったり、また、汗を余計にかいてそれだけ疲れがひどくなる、などと考えられていたからです。しかし、この考えは科学的根拠がないばかりか、大きな危険をはらんでいます。

夏の高温下では、7分目程度の力で1時間ジョギングをすると、約1リットルの汗をかきます。もっと激しい運動では汗は2リットル近くにもなるそうです。体重の2,3%に相当する水分(体重60キロの人なら1.2~1.8リットル)が失われると循環機能に影響が出始めます。これが5%程度になると持久力が大きく低下し、7%になるとしばしば幻覚が現れ、10%以上になると意識がなくなり死亡するケースが出てきます。

締め切った体育館のように、気温や湿度が高く、風がない状況下で長時間運動をしていると、体温が上昇するにもかかわらず、体熱が十分に発散できなくなり、死亡するリスクが高まります。

夏のスポーツの心得を今一度確認しておいてください。

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