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Dr.石川のちょっと健康相談 vol.20

テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に日常生活に感じるちょっとした不調について解説していただきます。これを機に、自分のカラダに目をむけてみてはいかがでしょうか。

今月のテーマは「肩がこる」です。

11月「肩がこる」

肩こりは首や肩の周囲の筋肉が極度に緊張、疲労することにより、血液循環が悪くなるために引き起こされます。筋肉は太い1個の塊(かたまり)のように見えますが、じつは数百、数千といった筋線維(せんい)がまるで袋に入ったそうめんのように集まっていて、その中に血管や神経が通っているのです。

筋肉は弛緩(しかん)と緊張(収縮)を交互に繰り返しており、弛緩するとき栄養や酸素をたっぷり含んだ血液を取り込み、緊張するときには筋肉の運動で生じた老廃物を静脈の流れに捨てるという作業を行っています。ところが、長時間同じ姿勢をしているなど、緊張だけが長く続くと、筋肉はパンパンに腫れ上がり、中を走っている毛細血管が圧迫されて、うっ血が起きます。そうすると新鮮な血液が筋肉に行き渡らなくなり、うっ血した血液の中に老廃物がどんどん溜まってしまいます。

この溜まってしまった老廃物がこりや痛みを引き起こす発痛物資になります。しかも、そのままにしおくと、この発痛物資がさらに筋肉の緊張を高めてしまうので、症状がさらに悪化します。

肩こりを起こしやすくしている要因は、3つ考えられます。その1つは、体格です。たとえば、なで肩や首が細く華奢(きゃしゃ)な人は首や肩の筋肉が弱いために、筋肉疲労を起こしやすいのです。腕をぶらりと下げていると腕の重さで肩が下のほうに引っ張られて、肩の筋肉は緊張します。机やテーブルの上に肘をつくか、肘掛け椅子に座るようにすると、だいぶ肩の緊張は和らぎます。

2つ目の要因は姿勢です。デスクワークや手芸などで長時間猫背の姿勢でいると、肩や首の筋肉が緊張するので肩こりが起きやすくなります。長時間の作業の場合は、ときどき姿勢を整え、ストレッチ体操をするといいでしょう。

3つ目の要因はストレスです。ストレスを感じ続けることで、肩や首の周りの筋肉が常に緊張して肩こりを引き起こします。多くの人の肩こりは多かれ少なかれストレスが関与しています。適当な息抜きと就寝前にぬるめの湯にゆったりとつかって、全身の筋肉をリラックスさせることも効果的です。

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