Dr.石川のちょっと健康相談 vol.16
テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に日常生活に感じるちょっとした不調について解説していただきます。これを機に、自分のカラダに目をむけてみてはいかがでしょうか。
今月のテーマは「抜け毛、白髪が増えた」です。
7月「抜け毛、白髪が増えた」
髪が抜けるのは、多くの場合、髪の栄養状態の悪さが原因で起こります。とくに夏に食欲が急に落ちるときは十分な栄養が取れませんから、そのツケが秋に現れます。つまり、夏バテがひどい人ほど、秋は抜け毛のシーズンとなるわけです。季節に関係なく抜け毛が多くなったときも、まず食生活に問題がないかチェックする必要があります。
また、ある部分だけ集中的にはげてしまったときは、原因は別にあります。これは円形脱毛症といい、ほとんどの場合が、精神的なストレスによる自律神経失調症が原因となっています。ストレスによって、皮膚にはりめぐらされている一部の血管の流れが悪くなり、その血管が支配している領域の毛根が枯れてしまうことから、丸いはげが1つ、ないしはいくつかできるのです。永久にはげたままではなく、大抵の場合、数カ月もすれば髪の毛が生えてきます。ただ、時間が解決するとしても、原因となるストレスの元を断つことを最優先に考えたいものです。
慶応大学医学部皮膚科の研究グループは、人間の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用して、毛を作ったり支えたりする毛包を部分的に再生する実験に成功しました。まだ、マウスを利用しての実験段階ですが、将来、脱毛症に対する新しい治療の開発の可能性を示したものとして期待されます。
一夜にして髪が真っ白になったという話はあくまでもフィクションの世界の話ですが、1カ月くらいの間に急に白髪が増えることはあります。大病をしたあとなどを除いて、白髪が急に増えるのは、やはり精神的なストレスが原因であることがほとんどです。
抜け毛にしろ、白髪にしろ、多くの場合、根底にストレスが関係していることを知っておいてください。