Dr.石川のちょっと健康相談 vol.14
テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に日常生活に感じるちょっとした不調について解説していただきます。これを機に、自分のカラダに目をむけてみてはいかがでしょうか。
今月のテーマは「いびきがひどい」です。
5月「いびきがひどい」
“いびき”は睡眠中に上気道(鼻から咽頭までの空気の通り道)から出る呼吸雑音のことです。上気道の抵抗が高くなって発生する、異常な呼吸音がいびきです。上気道の抵抗が大きくなる原因には、太って気道が狭くなったり、年をとって筋肉や粘膜が緩んだり、鼻やのどの病気で分泌物が多すぎる場合や、逆に少なすぎて乾燥する場合などがあります。
心配のないいびきと、注意が必要ないびきがあります。心配のないいびきは、普段かかないのに疲れたときや飲酒したときだけにかくいびき、同室者の睡眠を妨げない程度の静かないびき、グーグー、ガーガーといった規則的なリズムで、本人の自覚症状がまったくないいびき、入眠時だけのいびきなどです。注意が必要ないびきは、常習的な大きないびき、奇異な音のいびき、いびきをかいていなかった人が突然かきはじめた大きないびき、音質が今までと大きく変わったいびき、往復いびき、そして、呼吸が一時的に止まるいびき(睡眠時無呼吸症候群)などです。
睡眠中に長時間呼吸が停止すると、血液中の酸素が減少して、二酸化炭素が増加し、交感神経が活性化されます。このような状態が続くと高血圧が発症します。また、閉塞された気道を通過させようと強引な努力呼吸をするようになると、心臓内に大きな圧力変化が起こりやすくなります。このような状態が長期間放置されますと、脳梗塞の原因にもなる心房細動が発生しやすくなります。
注意が必要ないびきをする人は、一度、耳鼻咽喉科か内科を受診してみてください。